書籍『賢治鳥類学』
赤田秀子、杉浦嘉雄、中谷俊雄 著
『賢治鳥類学』
新曜社 https://www.shin-yo-sha.co.jp/
平成10(1998)年5月29日 出版
ISBN: 4788506424
価格: 3,300円(税抜き)
本会会長の杉浦嘉雄が、著者の1人として名を連ねています。
宮沢賢治の作品には、しばしば鳥が登場します。その鳥たちについて、従来の文学的な考察や解釈に留まらず、様々な観点から考察がなされていることが本書の特徴の一つとなっています。
バードウォッチングや自然観察の視点を文学の世界に持ち込むことで、人と野鳥との関わりについて新たな考察や解釈が成立することになります。そのことが、宮沢賢治の文学の世界に新たな光を与え、さらに広がりのあるものとして映し出すことになります。本書はその意味で大変にユニークな存在であると言えるでしょう。
逆に、文学と自然観察の関わりに着目することで、愛鳥教育の範囲はさらに広がりを見せることにもなります。
- 全国愛鳥教育研究会機関誌「愛鳥教育」55号(1998年10月)に掲載した書評
aicho_kyouiku_no_55_p10.pdf
- なお、杉浦嘉雄は、関連する内容として、「宮沢賢治の “内なるバードウォッチング”」と題した講座活動を実施しています。以下は、その一例です。
https://www.city.saiki.oita.jp/kiji0035908/index.html
目次
序 心象風景の中の鳥たち 入沢康夫 3
はじめに 7
第一部 身近な鳥 17
ヒバリ すきとほった波をたてるもの 18
ウグイス 青い折線グラフ 33
ツバメ 風のフラッシュ 38
トビ(トンビ) とろりとうざえもん 42
ムクドリ イーハトーブのモズ 47
ホオジロ 鼓のかたちにひるがへる 53
ツグミ 人に食べられるか鷹に食われるか 56
ヒヨドリ 大きく波形に飛ぶ 63
メジロ 心理劇の立役者 67
ヒワ 萌黄色のお菓子 71
ヤマガラ とんびの染屋の苦心作 75
シジュウカラ ちらけろちらけろ 77
ハト ドバトとキジバト 81
スズメ 稲作と結びついて 88
カラス 雪のたんぼのあぜ道に 94
烏のいろ 鶯色はどんないろ 103
第二部 家禽類その他 113
アヒル・セキセイインコ・黒白鳥・レンジャク 114
ガチョウ 仏の三二相 122
ベニスズメ 羽の効用 126
ニワトリ 養鶏のススメ 128
クジャク 天の鳥、地の鳥 136
ゴクラクチョウ(フウチョウ) 化性の鳥 149
シチメンチョウ滑稽さの奥にあるドラマ 154
ハチスズメ(ハチドリ) 聖地へ誘うもの 158
カササギ 彼岸に渡る橋 169
飛ぶ エレキや鳥がばしゃばしゃ翔べば 171
第三部 水辺の鳥 181
ミソサザイ、そしてオナガ 名前なんか気にならない 182
アホウドリ 知らない者は阿呆鳥 191
エトロフスズメ 月をかすめる鳥の影 193
カモメ いるかいないか 195
ウミスズメ 海面すれすれを飛ぶ 200
ウミガラス 亡妹卜シの世界へ誘う幻の声 202
イソシギ はせて遁げ、はせて出る 204
カワセミ その三人兄妹 206
カモ 蕪を洗いながら 215
ガン 燐光の菓子 221
サギ シラサギとアオサギ 227
ゴイサギ 夜通し赤い眼を燃して 234
ハクチョウ 星座と白鳥伝説 236
チドリ 水晶の笛 242
ツル インディアンの弓 248
オオヨシキリ びっくり、くりくりくりくり 252
サワシギ(ヤマシギ) 石竹いろの動因 260
ブドシギ(オオジシギ) 自由射手は銀のそら 264
クイナ(ヒクイナ) 馨をたたく正体 267
セキレイ 幻の花鳥童話 270
ヘラサギ 夏に舞う冬鳥 275
トキ 賢治は鴾を見たか 277
鳥の声 鳥とは青い紐である 284
第四部 山野の鳥 297
イワツバメ 海抜六千八百尺の鳥の声 298
ワシ 鳥の王者 300
タカ 青空を駆ける 303
カッコウ・ツツドリ・ホトトギス・ジュウイチ 310
コマドリ アカシヤづくり 327
キツツキ 幻の青い舌を出す鳥 331
フクロウ 誰だか食べた 335
ヨタカ タカに似たもの 348
キジ 亜鉛鍍金 356
ヤマドリ 幻想の闇のなかを青く光って飛ぶもの 359
カケス 森の道化師 363
宮沢賢治バードウォッチング 366
引用・参考文献 383
あとがき 388
賢治作品索引 395
烏名索引 398
装憤 山崎一夫
口絵・本文絵 松原巌樹